日常生活を送っている中ですれ違った人がなんか臭うと感じたことはありませんか?
もしかしたら、同僚や取引先の人、さらには友人や恋人など皆さんの身近な人から口臭が臭ってきたという経験もあるかもしれません。さらに、もしかしたら自分では気づいていないけど、実はあなたの口臭が気になっている人も中にはいるでしょう。
口臭は匂いを感じてもなかなか相手に対して言い出すことができないものです。ましてや大切な仕事や意中の相手とのデートの最中にクサいと思われてしまうと、相手からの印象も悪くなってしまいます。
口臭はいくつかの原因があり、原因を知ったうえでのケアが必要です。
口臭が発生する仕組み
そもそもなぜ口臭は発生するのでしょう。数ある口臭の原因の中で最も多い口の中が原因で発生する口臭について、少し考察してみます。
誰の口の中にもたくさんの細菌が生息しています。その中の1つである嫌気性菌はタンパク質を好み分解する性質があります。
嫌気性菌が食べかすや細菌の中に含まれるタンパク質を分解すると、ニオイのもとになる揮発性硫黄化合物(VSC)という成分を発生させます。
この揮発性硫黄化合物は、主に3つのガスからできています。
- 硫化水素: 卵が腐ったニオイ
- メチルメルカプタン: 生臭く魚や野菜が腐ったようなニオイ
- ジメルサルファイド: 生ゴミのようなニオイ
これらが口の中で混ざり合うことで、不快な口臭を発生させます。
気になる口臭の主な4つの原因
にんにくや納豆などにおいが気になる食べ物を食べて、口臭が発生するのは想像ができると思います。その他にも口臭の原因はあります。
口腔内の環境
口臭は舌苔と歯周病が原因で生じることが多いです。その他にも扁桃の部分に膿栓ができていて、それが口臭の原因となっていることもあります。
舌 苔
舌の表面は、舌乳頭という小さな突起がたくさん生えており、でこぼこした構造になっています。この隙間に食べかすや細菌、粘膜が剥がれたものが付着し、たまっていくと白い苔状の塊になります。これが舌苔です。
舌苔がたまっていくと、舌苔の中にふくまれる嫌気性菌がタンパク質やアミノ酸を分解して、ニオイのもとになる揮発性硫黄化合物を発生させます。
健康な人でも多少の舌苔はあるものなので、少し白くなっている状態であれば問題はありません。ただし、舌の全体が厚く白い舌苔に覆われている人や黄色や黒い汚れがついている場合はケアをする必要があります。
歯 周 病
歯肉の炎症である歯周病も口臭をまねく原因となります。歯周病は歯磨きが不十分であると歯と歯肉の間に細菌がたまり、ひどくなると赤く腫れたり炎症を引き起こします。
歯周病により細菌が繁殖していくと、舌苔と同様に、ニオイのもととなる揮発性硫黄化合物を発生させます。歯肉から膿が出てくると口臭がきつくなりやすいです。
- 歯肉が赤く腫れている
- 歯磨きをすると出血する
- 歯と歯の間に隙間ができている
などの症状がみられると歯周病の可能性があります。
歯周病は治療をしておかないと、ひどい口臭の原因になってしまいますので、早めに歯科を受診するようにしましょう。
歯周病の治療は、基本的に歯垢や歯石を除去することから始まります。歯周病で歯茎が腫れたり出血したりするのは、歯周ポケットにたまっている歯垢などの汚れが原因で炎症を起こしていますので、汚れを取り除けば次第に炎症も治まっていき、口臭も改善されていきます。
虫 歯
虫歯になると食べ物のカスなどが詰まりやすくなり、発酵や腐敗によって悪臭を発生させます。これは虫歯の穴が大きいほどカスが詰まりやすくなるので、早めに対処することが必要です。
また、虫歯が進行すると歯根が化膿したり、歯の神経が死んで腐ったりしますが、その時も強い口臭を発生させます。特に歯の神経が死んでいると痛みも何も感じないので、虫歯の進行に気づかない可能性が高いです。
虫歯の治療後は歯と歯の間に隙間ができやすいので、食べカスがたまりやすくなります。定期的に歯医者で診てもらわないと口臭が発生するばかりです。
特に親知らずは盲点になりやすく、斜めに生えている親知らずだとその周辺に食べカスがたまりやすいので口臭が発生しやすくなります。
虫歯菌は口内の食べカスを栄養にして増殖するため、定期的に口内を綺麗にしないと虫歯が進行してしまいます。
ドライマウス
何らかの原因により、常に口の中が渇いてしまうドライマウスという病気があります。
ドライマウスは口内の症状のため、口の中に全て原因があると考えている方も多いかもしれませんが、ストレスや脱水症状、疾患、口呼吸、服用している薬など様々な原因が考えられます。
殺菌作用のある唾液がほとんど分泌されずに口の中が渇くことにより、口臭が非常に強くなってしまうことがあります。
ドライマウスになると、卵が腐ったようなニオイの口臭がすると言われています。
このようなニオイは、ドライマウスの人でなくても寝起きや空腹時、緊張時などは誰でも起こり得るものです。
ドライマウスの人は、症状が進行すると軽い口臭から徐々に本人でも分かるくらいに強い口臭へと変化していくことが特徴となっています。
ドライマウスの症状は、常に口の中が渇いて口臭がするだけではなく、他にも様々な症状がみられます。
- 舌がヒリヒリする
- 味覚が何だかおかしい
- 食べ物を飲み込みづらい
- 喋りづらい
- 口の中が痛む
- 唇や目が乾燥する
これらの症状を感じる方は、ドライマウスを疑った方が良いかもしれません。
ドライマウスは病院で治療することが望ましいですが、生活習慣を改善するだけで症状が軽くなることもあります。
膿 栓
私たちの口内には、喉の方に膿栓(のうせん)と呼ばれるものができることがあります。膿栓は臭い玉とも呼ばれていて、扁桃の小さな穴の部分に粘液と細菌の死骸が集まることでできるものです。
臭い玉ができると口臭が発生します。
喉がイガイガしたり、鼻に抜ける口臭が気になる場合には臭い玉ができている可能性があります。
臭い玉は文字通り悪臭の塊のようなもので、小さくても潰すと下水やドブのようなニオイがするとも言われますので、できるだけ早く対策を取って、ニオイの原因を取り除きたいところです。
臭い玉が気になるので取り除きたい方は、自分で取り除こうとすると粘膜を傷つけてかえって悪化することがありますので、一度耳鼻咽喉科に診てもらうことをおすすめします。
全身の病気
口腔以外の疾患が口臭につながっている場合もあります。
例えば、副鼻腔炎などの鼻の疾患や、肝臓病や糖尿病のような内臓から来る病気が考えられます。
生ごみのような口臭は、歯周病以外にも消化器系や肝臓の疾患でも発生します。
副鼻腔炎は慢性化すると蓄膿症になりやすく、膿が溜まることから嫌なニオイを発生させます。
膿が喉へ流れると喉から嫌なニオイが発生するのは、膿自体がニオイを放っているからです。
また、鼻水が喉に流れることでも口臭が発生します。
本来鼻の穴に流れるはずの鼻水が喉に流れることにより、鼻水が喉にへばりつくことで細菌を繁殖させ、嫌な口臭を発生させます。これは後鼻漏という症状で、蓄膿症などが原因で発生します。
それ以外にも逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、便秘、がんなどの病気にかかると口臭が発生することがあります。
こういった病気の場合、口臭以外の症状がみられるはずです。まずは早期に発見すること、そして根本的な病気の治療をすることが大切です。
食 べ 物
にんにくやネギ、納豆などのニオイが強い食べ物を食べた後は、口の中のニオイが気になると思います。
実は、ニオイの成分は口の中に付着するだけでなく、胃の中でも分解され血液を通して全身を巡ります。そして、肺からでる不快な息や体臭の原因にもつながってしまいます。
食べ物からくる口臭の場合、ほとんどが一時的であり、歯磨きやマウスウォッシュなどのケアである程度改善ができます。
生理的要因
朝起きたときや空腹のときの口臭は、生理的な要因で発生しています。
これは、殺菌作用のある唾液が少なくなることで、においのもとである揮発性硫黄化合物 (VSC) が作られるからです。
生理的な要因による口臭は、誰しも多かれ少なかれ必ずあるものなので、特別な治療は必要ありません。
日々の歯磨きを丁寧に行い、口の中が乾燥しているときには水分摂取をすることを心がけましょう。
口臭が気になるときの予防・ケア方法
強い口臭が発生している時、まず考えられることは口の中に細菌が増えているまたは唾液の量が減少しているということです。そのため口臭を改善するときは、これらへのアプローチが重要です。
口腔内の環境を清潔に保つ
舌苔ができており、舌が汚れているときは舌ケアをしましょう。ドラックストアには、舌苔を取り除くための口腔ケア用品がいくつか売られています。例えば、
- 舌用ブラシ
- スポンジブラシ
- 口腔ケア用ウエットシート
などがあります。
ブラシの使い方は、舌の白くなっている部分を奥から手前に向かって優しくなでるように使用します。奥の方にブラシを入れてしまうと「おえっ」と嘔吐反射がおきてしまうので、気をつけて下さい。
また、舌をこすりすぎて傷つけてしまわないようにしましょう。やりすぎは逆効果です。舌苔を除去することで口臭の改善につながりますが、全ての舌苔を取り除く必要はありません。
歯ブラシで歯を磨くだけでは完全に食べかすを取り除くことができませんので、歯間ブラシやデンタルフロスを使って念入りにかつ丁寧に歯を磨きましょう。歯周病が悪化することを阻止することで、口臭の改善につながります。
唾液の量を増やす
唾液には殺菌作用がありますので、口の中の唾液分泌量が減ってしまうと口臭につながってしまいます。口が乾いている時は、こまめに水やお湯を飲むことをおすすめします。
また、口の周りには唾液線がいくつか存在しています。頬のあたりを手で優しくマッサージすると、唾液線が刺激され唾液の量が増えてきますので、試してみて下さい。食事の前などに行うのがおすすめです。
他にも、食事をする時によく噛んで食べることも大切になってきます。よく噛んであごを動かすことによって唾液が分泌されます。
普段あまりよく噛まずにかきこむように食べている早食いの人はドライマウスになってしまうリスクがあります。
よく噛んで唾液を出すことが重要ですので、空腹時にガムを噛むこともおすすめの口臭対策です。
ま と め
この記事では、口臭が発生する原因と対策方法について説明しました。口臭は、自分では気にならなくても、意外と周りの人は気にしていることも少なくありません。口臭対策をすることは、口の健康を保つことでもあるので、参考にしてみてください。
なお、歯医者以外にも口のニオイを専門とする口臭外来を受けられる病院もあります。気になる方は一度受診をしてみるのも良いかもしれません。
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